【ポエム】演技が苦手

昔からなのですが、人が何かを演じている姿というのが苦手です。共感性羞恥の亜種と言うのでしょうか、ドラマや映画で、人が大げさな演技をしているのを見るのが、非常に苦手なのです。何か驚いたときに、目を見開いて「わあ!」と声を上げたりだとか、怒り心頭で拳をわなわなと震わせながら、怒鳴り散らしたりだとか、そういうのを見ると、一気に冷めてしまうのです。もともと、自分が感情の発露が少ない人間だということもあり、自分なら絶対にしないような立ち振る舞いを見ると、何か、同じ人間の形をした別の生き物を見たような気持ちになりますし、嬉しくないのに笑ったり、悲しくないのに泣いているという事実に、ある種の恐怖のようなものも覚えます。同じ理由で、大げさなリアクションを取る芸人や、アイドルも苦手です。これらのようなことが、テレビの中だけならいいのですが、たまに現実でもこういった大げさなリアクションをする人がいて、たぶん、それはおそらく、そういったリアクションがテレビから逆輸入されたものだと思うのですが、まあ、とにかくそういう振る舞いに乗っかれればいいのですが、どうしてもスッと冷めてしまって、素っ気ない態度を取ってしまったりして、でも、それはそれでその人なりの愛なのだろうとも思うと、とても心苦しくなったりして……。それでもガッとテンションを上げて、あるいはお酒の力を借りたりして、応えることもできるのですが、どうしても嘘を吐いているような気分になり、あとで後悔をしたり、そういうコミュニケーションを重ねれば重ねるほど、逆に距離が離れていくように感じてしまったりして、結局、どこかでプツンと糸が切れてしまい、どうしようもない自己嫌悪や申し訳なさに襲われることになります。他人に嘘を吐くことは得意なのですが、自分に嘘を吐くことが非常に苦手なのだと思います。だから、自分に対して平気で嘘を吐ける、ように見える、人が苦手という部分もあるのかもしれません。それでも、自分に嘘を吐いていることが透けて見えるような人は、それが逆に愛おしく思えたりするのですが、それすら見えない、テレビに出ているタレントのような振る舞いをする人は、怖くて仕方がないです。